タイトル:アヒルと鴨のコインロッカー 著者:伊坂幸太郎
引っ越してきたアパートで出会ったのは、悪魔めいた印象の長身の青年。初対面だというのに、彼はいきなり「一緒に本屋を襲わないか」と持ちかけてきた。彼の標的は-たった一冊の広辞苑?-そんなおかしな話に乗る気などなかったのに、なぜか僕は決行の夜、モデルガンを手に書店の裏口に立ってしまったのだ。 出典:アヒルと鴨のコインロッカー 伊坂幸太郎
伊坂幸太郎さんの作品です。
第25回吉川栄治文学賞新人賞受賞作です。
映画化もされています。
この本を読んだ感想としては、そういうことだったのか、という納得と切なさ。
「僕」を主人公として話は進んでいきますが、「僕」は3人の物語に途中参加しただけだと言われる。
3人とは
「僕」のいる現在と「わたし」こと琴美が主人公の2年前が交互に展開されていきます。
本や襲撃事件が2年前とつながっていくという方式です。
現在パートでは「僕」こと椎名と、河崎がメインに話が進みます。
2年前は琴美とドルジと河崎がメインに話が進みます。
しかし現在パートに現れる河崎はブータン人のドルジです。これが最大の秘密。
ドルジは外国人であると信頼されないからという理由で椎名に河崎として近づき、本屋を一緒に襲撃します。
あとはそれぞれの結末は少し悲しいものです。
琴美はペットショップ店員です。
その性格からペット殺しの犯人たちが許せなくなります。
そして危険な目に遭いながらも犯人たちが集まるファミレスに向かいました。
そこで警察を呼んで犯人を追い詰めるも、逃げた犯人の車に轢かれて亡くなってしまいます。
物語は琴美の復讐を果たそうとするドルジの物語です。
河崎は恵まれた容姿から女性にすごくモテる男です。
しかし琴美を轢いた犯人に復讐を果たす間に自殺してしまいます。
ドルジのラストについては正確な描写はありません。
ですが琴美が車に轢かれたときに見た映像が、ドルジの結末を思わせる内容でした。
天国で2人がまた会えたらいいなと思うと同時に、切ない終わりを予感させて複雑な気持ちになります。
まとめると、とにかく切ない物語です。
ですが読んでいる最中は伊坂ワールドにどっぷりと引き込まれ、最後まで楽しく読めました。
完成度の非常に高い作品です。
映画化もされています。
映像化するのが難しいトリックだと思うので映画も見てみたいと思います。