こんにちは。コーシー(@C_aptainTokyo)です。
「お金の真理」はタイトルの通り、お金について書かれた本です。
著者の「与沢翼さん=お金」というイメージをお持ちの方も多いかもしれません。
私もそうでした。
そんな「お金」をイメージさせる著者が記す、お金の本質とは何か、興味があったのでこの本を手に取りましたが、すごかった。
目次
「お金の真理」著者:与沢翼
引用元:Wikipedia
感想・書評
まずこの本は、単にお金について書かれた本ではないということです。
「与沢翼=お金」のようなイメージがありタイトルからもお金について書かれた本であることは間違いないのですが、同時にこの本では人生論や仕事論についても語られています。
それはある意味当然のことで、お金は人生や仕事というものに大きく関わることだからでしょう。
(最低限の)お金がなければ人間らしい生活を送ることはできませんし、多くの場合において仕事をしなければお金を手に入れることはできません。
この本は与沢翼さんの体験談から語られる内容がほとんどなので、彼の人生経験に関連した内容が色濃く記されています。
当然本書では、タイトルや与沢翼さんという人間に期待する内容がふんだんに盛り込まれます。
それはお金の稼ぎ方や増やし方、守り方などの具体的な事例です。
しかしそれ以上に、お金に囚われてはいけないというメッセージが強烈です。
様々なテーマで語られたお金の話は、かなり厚い本書でもすぐに読み終えてしまったほどでした。
ここからは、内容についての感想を書いていくので、興味がある方はぜひ読んでから見てみてください!
序章:「欲望の日々」から学んだこと
最初に一言だけ言わせてください。
序章ではこれまでの与沢翼さんのお金との向き合い方や考え方が書かれています。
特にお金に対する「失敗」が濃く書かれた序章ですが、序章の最期のページは68P。
序章とは思えないほどのボリュームです。
69Pに「1章」の文字を見つけた時に、まだ序章だったのかと苦笑いしてしまったほどです。
与沢翼さんのお金に対する哲学は、すべて彼自身が経験した失敗から形成されているというのが、よくわかる内容となっている序章です。
「与沢翼=派手な金遣い」というイメージがある方がほとんどでしょう。
私もそうです。
この章で与沢翼さんは、過去の自分の反省するようにその振る舞いを書き記しています。
現在もテレビでは派手な演出を心がけているようですが、どうやら今はお金に対する考えが変わり、昔の自分の姿を反省しさらけ出しています。
印象的な文章は、『高級車や高級時計に使ったお金は「死に金」だった。』の1文。
私の持つ与沢翼というイメージそのものを覆す一文です。
お金には良い面と悪い面の両面があり、向き合い方を知らないと悪い面だけが出てくると語り、その具体例として過去の自分の行動を記しています。
お金が生み出す「欲望」にもフォーカスしています。
欲望は限界がなく、欲望という名のブラックホール。
お金には「魔力」がある。
欲を持つことは健全なことではあるけれど、その暴走を止める必要があるというのは、与沢翼さんから言われると非常に納得させられる言葉でした。
『限界のない己の欲望など、そもそも最初から叶えてやる必要がない。』
今の自分にこの言葉は特に響きました。
起業してお金持ちになりたい。同窓会にポルシェで行きたい。世間から注目される人間でありたい。
自分は特に欲の多い人間だという自覚があるので、すべてを叶えようとすると周りが見えなくなり、欲望の暴走を止めることができなくなるでしょう。
この1文を強く受け止めなくてはならないと感じました。
序章の最期の方では、意識して不要なものを切ることの大切さを語っています。
それは、短期的に損をする行動と言うのは長期的に得をする行動に繋がることが多いから。
特にこの本を書かれている際には、世界中がコロナウィルスの影響で大騒ぎしている頃です。
無駄な物が浮き彫りになったり、反対に必要なものがはっきりとして、自分にとって本当に必要なことを見極める重要な曲面です。
与沢翼さんの場合は、株の損切やチームを作らないことなどを例として語っています。
自分に置き換えて、何を損切すべきか考えてみないといけないと強く考えさせられます。
1章:お金とは何か?
コロナショックで世界が大騒ぎしていますが、そこで大切になるのがやはり「お金」。
この章では、お金とは何か?というテーマでお金の正体について語られています。
まず紹介されるのがお金にある3つの特徴
ここで与沢翼さんは、「価値の保存」が最も重要であると語ります。
お金は万一に備えてこそその本領を発揮するもの。それはコロナショックを経験した今ならハッキリとわかります。
今後を生き抜くうえで貯蓄を増やしていくことがいかに大切なことであるのか痛感しました。それを文章にされています。
今回この本を書かれている際にコロナショックが起きたので、そこにフォーカスしていますが、これから先の未来でも同様な危機的状況というのは訪れるでしょう。
その「漠然とした不安」に対して、具体的な対策を講じることが大切だと記されています。
これまでにも、リーマンショックや311など大きな出来事が起こってきました。
その度に「しっかりと備えていなければいけない」と痛感していても、実際にそれを実行できているのか。
自分と向き合って考えないといけませんね。
そしてピンチはチャンスでもあります。
どんな窮地に立っても「お金の総量はたいして変わらない」というのを知っておくが大切で、お金は儲かるところに移動しているだけ。
悲観論も楽観論も行き過ぎるので本当の流れはどちらだと自分は思うのか。
自分の頭で考える必要がありますね。
備蓄をしっかりとしておけば、ピンチの際にお金が流れる場所でお金を使うことができます。
コロナショックでは多くの企業が株価を下げました。
もし備蓄せずに多くのお金を株式市場に投じていたら、今回で大きく総資産を減らしてこれから来る波に乗ることは難しいでしょう。
しかし備蓄をしっかりしていれば、大きく下げた株価の中から、自分がこれから上がるだろうと考える銘柄を格安で購入することができます。
それに備蓄がしっかりしていれば、コロナショックの中で満員電車に乗って働かなければならないという事態も避けられます。
国や企業のせいにするのはナンセンス。
個人でしっかりと備蓄して「お金の正体を知って」生きていくことが、リスクのある人生でも生き抜くために必要なことなのでしょう。
2章:お金を守る
お金を守るためには、まず自分の本当の年収である「可処分所得」を知ること。
年収が同じでも実際の収入は違うのでそれをしっかりと把握することが大切だと語られます。
その中で、住宅ローンの話が出てきます。
この話はもしかすると読み手側にとっては不快に感じるかもしれないくらい、強烈な言葉で書かれています。
またお金は守るべきだが、「節約バカ」にならずに勉強のために使うお金や心を健康に保つ娯楽へのお金は使うべきとも言っています。
これは納得ですよね。
お金持ちを目指すためには「気持ちよく息を吸って生きること」が大切で、心の健康を保てないと生きていけません。
精神衛生を保つために必要なコストであるのかは、個人によって異なるので自分で考えないといけないので、自分の頭でしっかり考えないといけないですね。
『お金持ちになるための方法は、各自が満足できる最低限度で質素倹約に過ごし、虎の子で勝負を仕掛ける。』
お金持ちになるために質素倹約に過ごすというのは、世間がイメージするお金持ちとは真逆かもしれません。
しかし与沢翼さんは、これがお金持ちになる「唯一の」方法だと語っていました。
そして自己正当化バイアスがかかると損切ができず、無駄な時間を過ごしてしまうので痛みを伴っても過去の意思決定を否定すべきときが必ずあると言います。
間違いを起こすのは問題ではなく、間違いを認めないことが問題。
これが大切で、自分は普通の人間であり、普通の人間は間違いを起こすものだと知っておくことですね。
世の中の宣伝広告は99%がハニートラップだと考え、現金一括で買えない商品はすべて身分不相応。
自分が情報に強く優秀だと思っていると、より強い存在のカモにされやすいので疑って行動を続けることが大切だと言います。
「ラーメン屋の行列に並ぶな」の中で最後に語られた言葉が印象的なので、ぜひ読んで確かめてみてくださいね。
またこの章では人脈についても語られています。
しばしば人脈はビジネスシーンに置いて、非常に大切なものだと語られ、サラリーマンのほとんどが人脈はビジネスにおいて役に立つと考えているそうです。
しかし与沢翼さんは、人脈は純資産を築くという点では最終的にはマイナスに働くと考えています。この内容も興味深かったです。
また個人会社を作ることにも触れており、お金持ちになりたいなら個人会社を設立すること。これからの日本では国民全員が会社を持ってもいいと記されています。
その主たる理由としては、「節税」と「情報感度」。
かなり具体的な内容なので、お金持ちになりたいならこの項目を繰り返し読むべきだと感じました。
3章:お金をつくる
3章では、お金をつくる理由について語られています。
その中で繰り返し、「貯金」という言葉がでてきますが、これはお金を貯めることが目的ではなく、いざというときに戦える「軍資金」としての意味合いです。
アリとキリギリスのお話を例として出しており、まずは3年で300万円を貯めます。
これが冬にせっせと働くアリ。
そしてそのお金を軍資金としてお金持ちを目指します。
お金持ちになるのは、コストカットではなく増収です。
貯金をするためにコストカット(節約)を考える人が多いかもしれません。
もちろんそれも大切なことですが、それに加えて増収も必須事項。
収入は広く浅く分散されていてこそ長く続く。
個人の時代においては、サクセスストーリーに心躍らせるのはそもそもやめておいた方がいいと語っています。
このあたりの内容も面白いので、ぜひ本書を読んでみてください。
特に港区女子やLINE交換の話は、いま多少お金に余裕がある人やお金持ちに憧れがある人にとっては面白いと思います。
この本のおすすめポイントとしては、著者である与沢翼さんの体験談や経験談を元に語られているという点ですね。
4章:お金を増やす
お金を稼ぐことを考えると、下記の2つが浮かびます。
しかし与沢翼さんはこれらではなく、「コストを下げながら売り上げを伸ばす」を実践しているそうです。
これは簡単なことではありませんが、確かに理にかなっていますよね。
そして一時的な収入が高くなっても、それが自分の実力だと考えずに、凡人として確実にできる方法を常に選んでいくこと。
成功の哲学とは「我慢の哲学」だと記しています。
私からすれば与沢翼さんも十分天才で凡人だとは思いませんが、地に足をつけてお金と向き合うことがいかに大切かということですね。
そして話題は複利効果の話に移ります。
消費を先送りして再投資をすることが、お金を増やすうえでは大切。
そのためには「マネーゲーム」。何かのゲームになぞらえて現金に対する執着を忘れることと語ります。
ここで出てくるのが、「マルサの女」という映画の話。
この話が興味深かったので、ぜひ本書か映画で確認してみてください。
さてお金を増やす目標として、与沢翼さんは「純資産1億円」を目指そうと提案します。
これは「純金融資産1億円」が富裕層であり、2017年のデータでは約18万世帯もいるのでやはりここを目指すべきという意見ですね。
簡単な金額ではないですが、それを達成するための具体的な方法も本書には記されています。
特に印象的だったのは、『この世をうまく渡っていくためには、理想と現実のバランスを絶妙に取っていくこと。』という1文でした。
ここでは、あえてチケット転売や振り込め詐欺を題材に話が進みます。
もちろんそれらは悪いモノですが、そこから現実に何か良い面を持ち込めないかを考える。
お金は良い面と悪い面の両面があるので、どちらの側面からも向き合って、お金の本質、お金の真理を知ることが大切なんでしょうね。
5章:お金に愛される生き方
ここまでお金の本質について語り、守ることの大切さ、増やす方法を記してきました。
最終章は、お金に愛される生き方についてです。
お金というよりは、一人間としての生き方について書かれているような印象です。
お金に愛されるためには、世の中で「本当に儲けているのは誰なのか」を考えること。
自分が儲けていても、その後ろには更にお金を儲けている人がいるということです。
そしてお金を我が子のように考えること。
これも大切なことだなと思いました。
なんとなく上がりそうという理由で適当な株を買ったり、友人に進めるままによくわからない商品を買ったり。
お金を本当に大切に思えば、そのような行動はできないはずです。
そしてコロナの影響で世界が混乱していますが、それに対しても前向きな言葉記しています。
『今がどんな状況であっても、希望を忘れず、課題から逃げず、果敢に挑む限り、幸せや生を感じることができる。』
世界に反発せずに、世界の流れを尊重して、世界の流れに身を任せてみると事態は好転していったと、経験談から語っています。
今はまさにそのときなのかもしれませんね。
いかがでしたか。
今回は与沢翼さんの「お金の真理」の書評・レビューでした。